定年間近から、健康づくりとハイキングをかねて、カメラを肩に札所巡礼をはじめました。
最初は神奈川県の大山寺を１番寺とする関東36不動尊霊場、以後、板東33観音霊場、
秩父34観音霊場、武蔵野33観音霊場、ぼけ封じ関東33観音霊場、関東88観音霊場など
巡礼を続けてきました。関東36巡礼は2度、秩父はご開帳ごとに3度も各寺を訪ねました。
関東各地を訪れ巡礼の旅でいろいろな思い出をたくさん頂きました。

　･千葉県のいずみ鉄道の日吉駅で一時間に一本の電車を待っていたら、地元の方から
　　　おにぎりをいただいたこと。
　･千葉県の像法寺で偶然にも地元の観音様のご開帳の日にあたりお汁粉をご馳走になり、
　　　布製の大きなさいころを振り、景品にお菓子などのおみやげをいただ゜いたこと。
　･夏の暑い日には、団扇を頂いたり、多くのお寺でご住職から茶菓子のご接待を受けたこと。
　･本堂でお経を上げていただいたり、長い時間ご住職からお話を伺ったり、ときには、
　　ご住職と一緒に写真をとったこと。
　･茨城県のお寺では、花見の会場まで案内していただき結城太鼓をきいたこと。
　･大間々への、わたらせ鉄道の電車でご一緒したお年寄りから、おみやげをいただいたこと。
　･道に迷い車でお寺までの道を聞いたら、寺の前まで車をだして誘導してくれたり、
　　散歩中の人に道をきいたらジョギングで寺まで案内してくださったこと。
　･四季折々の各地の観光地の風景や資料館などを訪ねることができたこと。

巡礼の旅を通して、なによりも、多くの人々の善意と何百年にもわたる素朴な信仰の姿に触れ
世の中のたくさんの「いい人」にお会いすることができました。
関東88観音霊場めぐりは、定年を過ぎて普通免許を取得し、わかばマークを付けた車で巡礼を
かねて栃木県の川治温泉、千葉県の館山、茨城県の銚子まで車で行くことができ、定年後、
妻とドライブで温泉に行くという小さな夢もかなえることが出来ました。
あるご住職から「極楽はあの世にあるのではなく、心の持ちようで、生きているときにあるです」
というお話も伺いました。

多くの寺院を訪ねても、私は、般若心経にある「無我・無欲・空」への境地にはほど遠く、
まだまだ、欲しいもの、行ってみたい所、やってみたいことなど多く、人間的には少しも向上せず
迷いがいっぱいの以前のままの姿です。
でも、 250以上のお寺の巡礼の旅を通して四季折々の自然に接し、自然の素晴らしさに感動し
年月を経た寺院や仏像を訪ね歳月の重みと、祈りの意味が少し理解できたような気がします。
巡礼を通して多くの人々と出会い、素朴な人々の心にふれ、感謝とともにほのぼのとした何かを
得ることが出来たような気がします。

　　　　　　　　　　巡礼で多くの御仏　訪ねれど
　　　　　　　　　　　　空への悟り　はるかに遠し
　　　　　　　　　　　　　　今日に感謝し　迷いて歩む